ブックログ⑨ 旅をする木 

 お気に入り箇所をマークしたのが今までで一番多い本。

 

旅をする木 (文春文庫)

旅をする木 (文春文庫)

 

 

アラスカに行きたくなるし、

大自然(アラスカを旅するのは最後にしろという言葉があるほど。)のなかに身を置くと

こんなにも繊細な感覚になるのだなぁと思える本。

 

私の今のお気に入りを6つをば。

 

 

アラスカの秋は短い

無窮の彼方へ流れゆく時を、めぐる季節で確かに感じることができる。自然とは、何と粋なはからいをするのだろうと思います。一年に一度、名残惜しく過ぎてゆくものに、この世で何度めぐり合えるのか。その回数を数えるほど、、人の人生の短さをしることはないのかもしれません。

 

 

アンデス山脈へ考古学の発掘調査に出かけた探検隊の話

大きなキャラバンを組んで南アメリカの山岳地帯を旅していると、ある日、荷物を担いでいたシェルパの人びとがストライキをおこします。

どうしてもその場所から動こうとしないのです。困り果てた調査隊は、給料を上げるから早く出発してくれとシェルパに頼みました。日当を上げろという要求だと思ったのです。それでも彼らは耳を貸さず、まったく動こうとしません。現地の言葉を話せる隊員が、一体どうしたのかとシェルパの代表にたずねると、彼はこう言ったというのです “私たちはここまで速く歩きすぎてしまい、心を置き去りにしてきてしまった。心がこの場所に追いつくまで、私たちはしばらくここで待っているのです。

 

 星のこと

手が届きそうな天上の輝きは、何万年前、何億年前の光が、やっと今たどり着いたという。無数の星々がそれぞれの光年を放つなら、夜空を見上げて星を仰ぐとは、気の遠くなるような宇宙の歴史を一瞬にして眺めていること。が、言葉ではわかっても、その意味を本当に理解することはできず、私たちはただ何かにひれ伏すしかない。

 

 ある友人との話(野営をしながら)

 「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」「写真に撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって…その夕陽をみて、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」人の人生の中で、それぞれの時代に、自然はさまざまなメッセージを送っている。この世へやってきたばかりの子どもへも、去ってゆこうとする老人にも、同じ自然がそれぞれの物語を語りかけてくる。

 

筆者が16歳でアメリカ旅に出たこと

 今振り返ると、16歳という年齢は若すぎたかもしれない。~~一人だったことは、危険と背中合わせのスリルと、たくさんの人びととの出会いを与え続けてくれた。その日その日の決断が、まるで台本の無い物語を生きるように新しいできごとを展開させた。それは実に不思議なことでもあった。バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ。人生とは、人の出会いとはつきつめればそういうことなのだろうが、旅はその姿をはっきりと見せてくれた

 

多彩な人生を送ってきた人の話

 誰もがなにかを成し遂げようとする人生を生きるのに対し、ビル(本当に多彩な人生を歩んできたひと)はただあるがままの人生を生きてきた。それは自分の生まれ持った川の流れのなかで生きてゆくということなのだろうか。ビルはいう、「誰だってはじめはそうやって生きてゆくのだと思う。ただみんな、驚くほど早い年齢でその流れを捨て、岸にたどり着いてしまう

⇒私自身、人生になんらかの意味付けしたがるから、「流れのままに」というのは考えたことがない。こうして、田舎にとびこんだのも、「流れ」なのだろうな。そして、また違う流れにのっていくのかなぁ。それをうまく受け入れながら生きていきたいなぁ。